ビエネッタ vs しめ鯖 ~味の好みは変わりゆくもの~

先日、むちゃくちゃ懐かしいモノをTwitterで目にした。

コレだ。

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ご存知、ビエネッタ。
小学生時代、年に一度しか口にする事ができなかった「神々のデザート」である。


高級感あふれるマスカルポーネ入りのバニラアイスの間に、パリパリのチョコレートの層が幾重にも重なっている。
劇薬のミルフィーユもいいところだ。ねえ?吉井さん。


高級感が漂い過ぎて、1センチくらいの薄めにスライスして少しずつ食べた思い出しかない。
それくらい恐れ多い存在だった。
〇ーゲンダッツや〇ディーボーデンにはない、あのオーラは一体何なのか。
あのH・R・ギーガーがデザインしたとしか思えない独特なうねりあるフォルムのせいだろうか。


「大人になったら思いっきり一人で食べてやろう」といった妄想を抱いたキッズは少なくないだろう。
しかし、大人になった今、僕にそこまでの情熱は残っていない。
色々な味を知り、すっかり薄汚れちまったのかもしれない。
今の僕には、一本270円の赤ワインさえあれば十分だ。



ところで…食の好みというのは不思議なものだ。
気づかないうちに、ガラッと変わってしまうことがある。

あなたも、子どもの頃は大の苦手だったものが、オトナになって食べてみたらすんなり食べられた…という経験はないだろうか?
しかも、苦手を克服するにとどまらず、大好物TOP10にランクインしてしまったりすることもあるから奥が深い。



僕にとって、しめ鯖がそれにあたると思うんだよ。
何を犠牲にしても口にしたくなる。ねえ?桜井さん。

関西では「きずし」と呼ばれるこの魅惑の料理を、僕は居酒屋ではほぼ必ず注文する。
必ず辛口の日本酒と合わせるのが流儀だ。
どちらかというと、浅めに〆られたタイプが好みだ。
炙ってあるタイプも悪くない。
回転寿司屋さんで、棒状のさば寿司も定期的に食べる。


とは言え、子どもの頃は長きにわたり、「しめ鯖のトラウマ」を抱えて生きていた。
理由は、祖母にある。

母が留守にしており、たまたま遊びに来ていた祖母と二人で留守番をしていた午後三時。
普通の家庭ならおやつの時間だが、その日は違った。

祖母が、「めがら食べへ(訳:おいしいから食べてみなさい)」と、真空パックのしめ鯖をしきりに勧めてきたのだ。
僕は正直あまり気乗りしなかったが、そこまで言うなら…と、意を決してしめ鯖を食べることにした。

わさび醤油くらいつけて食べるべきだったが、何もつけずにそのまま食べてしまった。
あろうことか、僕はひとりでパックのしめ鯖を完食してしまった。
祖母が勧めてくるのを断り切れなかったため、食べ続けてしまったわけだ。


…やはり、しめ鯖は小学一年生にとっては早すぎたのかもしれない。
間もなく、胃から逆流感が突き上げてきた。
僕はトイレで、しめ鯖をまるごとリバースした。

それ以来、20歳を超えるまでは一度もしめ鯖を口にしたことはなかった。


酒を飲むようにな実家になってからしばらく経ち、青森の実家に帰省した時。
ふいに父親からしめ鯖を食べてみるように勧められた。

「ん…あ、イケるねこれ」

口に残るサバの脂は、安東水軍がすぐに洗い流してくれる。
これは最高のマッチングだと気づいた。




きっと、酒を飲むようになると、人の味覚は変わるのかも知れない。
言い換えれば、酒によってものの味わい方が変わるということか。


今日、行きつけのスーパーでビエネッタを探してみたが、残念ながら取り扱ってはいなかった。
今度お目にかかる機会があれば、昔よりも少しだけ厚めにスライスして食べてみようかと思う。
合わせるのはもちろん、一本270円の赤ワイン…ではなく、豆から淹れたコーヒーだ。

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